日本シリーズが終わって、巨人の原監督が残した言葉
「セ・リーグもDH制を導入すべきだろうね。相当、差をつけられている感じがあるし、取り入れれば全体的にレベルも高くなってくると思う」
この言葉が野球ファンならびに野球関係者に大きな波紋を呼んだ。その引き金となっているのが”パ高セ低”。
年 | シリーズ制覇 | 成績 | 対戦相手 |
---|---|---|---|
2019 | ソフトバンク | 4勝0敗 | 巨人 |
2018 | ソフトバンク | 4勝1敗1分 | 広島 |
2017 | ソフトバンク | 4勝2敗 | DeNA |
2016 | 日本ハム | 4勝2敗 | 広島 |
2015 | ソフトバンク | 4勝1敗 | ヤクルト |
2014 | ソフトバンク | 4勝1敗 | 阪神 |
2013 | 楽天 | 4勝3敗 | 巨人 |
2012 | 巨人 | 4勝2敗 | 日本ハム |
2011 | ソフトバンク | 4勝3敗 | 中日 |
2010 | ロッテ | 4勝2敗1分 | 中日 |
2010~2019年の野球はとにかくソフトバンクの強さが目立った10年間だった。
ソフトバンクは6度の日本一
ソフトバンクは日本シリーズでの敗退は0
ソフトバンクはセ・リーグ6球団すべてと対戦し日本シリーズ制覇
総合でソフトバンクは24勝8敗と大きく勝ち越し
とくに本拠地での強さが目立ち、中日以外の5球団はソフトバンクの本拠地では1勝もできず。
そして、セ・リーグ球団が日本シリーズを制覇したのは、2012年の巨人のみ。
日本シリーズだけでなく交流戦でも2010年にパ・リーグが1~6位を独占してから特に、パ・リーグがセ・リーグを圧倒。
2010年 | パ 81-(4)-59 セ |
2011年 | パ 78-(9)-57 セ |
2012年 | パ 67-(11)-66 セ |
2013年 | パ 80-(4)-60 セ |
2014年 | パ 71-(3)-70 セ |
2015年 | パ 61-(3)-44 セ |
2016年 | パ 60-(1)-47 セ |
2017年 | パ 56-(1)-51 セ |
2018年 | パ 59-(1)-48 セ |
2019年 | パ 58-(4)-46 セ |
合計 | パ 671-(41)-548 セ |
DH制のメリットはいくつかある。
野手により多くの経験を積ませることができる
DH制によって野手が1人多く出場できるようになる。野手が経験できる打席が増えるので、より強い打者を育てやすい。
投手が投球に専念できる
投手が試合においても練習においても投球に専念することができる。また、打線の切れ目がなくなることや守備難の強打者との対戦機会も増えるため、試される機会が多い。よってより優秀な投手を育てやすい。
たしかに、DH制に変えることでプラスになる要素はありそうだ。しかしながら、ここまでの実力差が生まれることの原因なのかは疑問である。
メジャーリーグにもアメリカン・リーグ(DH制)とナショナル・リーグ(DHなし)の2つのリーグがある。
ワールドシリーズとインターリーグ(交流戦)について成績を見てみよう。
ワールドシリーズ | ||||
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2011 | ナ | セントルイス・カージナルス | 4-3 | テキサス・レンジャーズ |
2012 | ナ | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-0 | デトロイト・タイガース |
2013 | ア | ボストン・レッドソックス | 4-2 | セントルイス・カージナルス |
2014 | ナ | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-3 | カンザスシティ・ロイヤルズ |
2015 | ア | カンザスシティ・ロイヤルズ | 4-1 | ニューヨーク・メッツ |
2016 | ナ | シカゴ・カブス | 4-3 | ●クリーブランド・インディアンス |
2017 | ア | ヒューストン・アストロズ | 4-3 | ロサンゼルス・ドジャース |
2018 | ア | ボストン・レッドソックス | 4-1 | ロサンゼルス・ドジャース |
2019 | ナ | ワシントン・ナショナルズ | 4-3 | ヒューストン・アストロズ |
インターリーグ | |
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2011年 | ア 131-121 ナ |
2012年 | ア 142-110 ナ |
2013年 | ア 154-146 ナ |
2014年 | ア 163-137 ナ |
2015年 | ア 167-133 ナ |
2016年 | ア 165-135 ナ |
2017年 | ア 160-140 ナ |
2018年 | ア 142-158 ナ |
2019年 | ア 134-166 ナ |
合計 | ア 1404-1292 ナ |
たしかに、DH制がしかれているア・リーグの方が、成績がいいように見えるが、日本のセパのような差はないのだ。つまり、昨今の圧倒的なセパの差はDH制によるものだけでは決してないといえる。
賛否あることは承知の上で、肩幅としては導入すべきではないと考える。
DH制がしかれていないからこそ投手起用や戦略の難しさ、おもしろさが失われてしまうにもかかわらず、DH制導入によって実力の差が埋まるものではないのではないかというものだ。
ただ、昨今の実力差はいかんともしがたく、、セ・リーグ各球団の選手・関係者はもっともっと頑張ってほしい。
プレミア12で世界一の座についたとはいえ、メジャーリーガーも参戦していない大会。WBCなど、世界のレベルでこれからも戦う上で育成としてできることすべてをするべきかもしれない。
しかしながら、世界のレベルで戦うために必要なのはDH制ではなく、それ以外の面の解決が優先だろう。